ルイとパズーがいつものように作業中、急にルイが淡々とした
口調でパズーに問いかけた。

ルイ:「パズー、シータのくちびるってさ〜どんな味だったわけ?」

パズー:「なっえっ?!…なんだよっいきなり!」

質問の意図すらわからず、手から道具を落とすほど、うろたえてしまう、パズー。
そんなパズーに対しても淡々と、作業をしながら、語るルイ。

ルイ:「いや、おいしそうな唇だなって思ってさ〜。いいよな〜、王子様は。」

やっと意味がわかった、パズー。でも、何故か動揺がぬけきれず
たどたどしく答えるパズー。

パズー:「あっ味なんてわかんないよ…わかるわけないだろ…」

やがて、顔を下げていくパズーの顔をのぞきこむように
にやけながら、尚もつめよるルイ。

ルイ:「え〜〜〜なんでだよ〜やったんならわかるだろ!」

もう、ルイが何がいいたいかわかってきたパズー。
何も言い返せない自分への苛立ちで顔が上げれなかった。

パズー:「…。」

まだ信じられないように、一通り驚いた後
一人で勝手に納得して、パズーを慰めに入るルイ。
ルイ:「…えっえ〜〜〜!!!…あっそうだよな、悪い悪い、そらそうだよな…仕方ねえよな。」

ルイの「そうだよな」に異常に、腹が立つパズー。
でも事実で、結局、無言のままうつむくパズー。

パズー:「…。」

そんなパズーの肩を優しくポンとたたいて
作業場を後にするルイ。

ルイ:「まあ、ゆっくりいけや。」

ルイが去ったあとも、悶々と何かいらだっていた。
そんなパズーをニヤニヤした顔で見つめるのは
ルイ・アンリ・シャルル達。

夕飯のときも、苛立ちっぱなしのパズー。
そんなパズーを心配して気にかけるシータ。

シータ:「パズー、どうかしたの?」

パズーの脳にはその声よりも、その声の発せられる
小さな唇しか届かなかった。

シータ:「パズー?」

ハッと我にかえったパズー。

パズー「なっなんでもないよ…」

シータから背を向けて、夕飯にがっつくパズー。
尚も心配になるシータ。

そんな二人を尻目に、楽しくてたまらないバカ兄弟。

シータに悪いことをしたと自責の念でいっぱいのパズー。
そこにアンリが来てパズーに紙きれを渡した。

アンリ:「パズー、これママがシータに渡しといてってさ。」
パズー:「って、なんでぼくなの?」

アンリ:「だって、こんな夜に女の子一人の部屋に入るのって
     ほら、なんか…さぁ。ってことでヨロシクナ〜。」

頭をかきながら、なぜか照れ気味に紙を強引にパズーに
渡して立ち去るアンリ。

パズー:(なんで、ぼくが…)

そう思いながらも、シータの部屋の前まできたパズー。
数分経っても、ノックできずにいたパズーだが
よしっとドアノブに手をかけようとしたら、ひとりでに
ドアノブが回り、シータが出てきてしまった。

二人とも一瞬時が止まったように、その場に
立ち尽くしていたが、シータが先に動いた。

顔をパァーっと明るくして

シータ:「パズー!今、会いにいこうと思っていたの。」

その、思いもよらない屈託のない笑顔にあっけにとられてしまうパズー。
そんなパズーに、尚も笑顔で、手に持つハーブティーを差し出すシータ。

シータ:「これをパズーに飲んでもらいたくて。」

それでも立ち尽くすパズーに、心配そうにシータ。

シータ:「いらない?」

そんな声にパズーは我にかえり、とっさにこたえる。

パズー:「そんなことないよ!ありがとう。」

安堵の表情で、またいつもの笑顔に戻るシータ。

シータ:「よかった。中で飲みましょう。」

またも、その言葉にたじろむパズー。

パズー:「中で?いいの?」

笑顔でうなずくシータ。

部屋の中に入ってもどうしていいかわからず
立ち尽くすパズー。

シータ:「このハーブティーはね、疲れもとれるし、心に安らぎをもたらすの。」

パズーが会いにきてくれた
嬉しさで、そんなパズーはそっちのけで
ハーブティーの準備をしながら楽しそうに話すシータ。

シータ:「ところでパズーは、私に何かごよう?」

その言葉で、自分が何をしにきたか、思い出し、
アンリから預かった何も書かれていない紙きれをギュッと
握り締め、一緒にルイのあの言葉も思い出す。
(あっそうだよな、悪い悪い、そらそうだよな…仕方ねえよな。」)

パズー:(ぼくだって、ぼくだって…)

そしてパズーは思いもよらない行動に走ってしまう。
ハーブティーも用意でき、パズーにベッドの脇に
一緒に座ろうと促そうとしたシータの肩には
震えるパズーの右腕が…
そして、シータの目の前は一瞬で真っ暗になり、
パズーの真っ赤になった顔が…。

シータ:「えっ?!」

ここで、一気に唇を交わすところだが、パズーのあまりの
緊張からか、勢いでベッドの脇にかけた左足が
滑ってしまいパズーはベッドに突っ伏してしまった。

シータ:「えっ?えっ?パズー??」
意味もわからず、背後に倒れこんだ、パズーを
心配するシータ。

そのやさしさも今は、パズーには痛く辛かった。

パズー:「ごめんね…シータ。…ごめんね」
今の自分が恥ずかしくて、情けなくて、そして何よりも
シータに申し訳なくて、その言葉しかでてこなかった。

謝り続けるパズーの頭をやさしく撫でるシータ。

シータ:「私は大丈夫だから、泣かないで。ね?パズー。」

その言葉にすっと起き上がり、その小さく優しい手を
ギュッと握り、小さくも力強くつぶやくパズー。

パズー:「…ごめんね、ありがとう。」



ちなみに、アンリが渡した紙きれには

「 シータへ 

   パズーと仲良くな(はぁと) 』

とだけ書いてあったらしい。



〜 fin 〜



人生初の小説…。べらぼぅに時間かかりましたし、悩みました。
でも、なんだか在り来たりな出来になってしまいました…。
本自体をあまり読まないのでボキャブラリーもないし
文才もないので…精進しまっす!基本的にアマアマが好き
なので、「可愛いな〜」って思って頂ければコレ幸いです!